こんにちは。派遣薬剤師のひでです。
「薬の違いに関して理解を深めたい」と思い何かいい本がないかと探していた時に出会ったのが
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」です。
- 著者:児島悠史
- 出版社:羊土社
- 発行年月日:2017年11月1日、2019年9月10日第9刷発行
いろんなところで良い評判を聞いていたのですが、評判通りというか評判以上でした。
個人的には「100個じゃ網羅できないな・・・」と思っていましたが、100個読み合えたあとはかなり知識が増えた実感がありましたし
周辺知識も書いてくれているので薬の使い分けを100個マスターする以上の価値がありました。
おすすめ本をまとめている記事もあるので合わせて読んでみてください。
目次
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」はこんな人におすすめ
勉強したい薬剤師ならどなたでも一度は読んでおくと良いと思いますが
特におすすめなのは
- 似た薬はたくさんあるけど違いがよくわかっていない自分を変えたい
- 薬が変わった時に症状の違いを予想して投薬に臨みたい
- 処方提案も踏まえた疑義照会をしたい
こんな方です。
正直、薬の系統間の違いは分かっていても同じ系統の他薬について違いがわからないことって多いですよね。
また、処方が変わった時に
「なんで変わったんだろ。患者さんに聞いてみよ」
となるのも良いですが、できれば
「変わった薬の特徴からしてこんなことが起きたのかな」
と考えてから投薬に臨めるとそこから1歩先の話ができたりします。
疑義照会をするときもDrの判断任せにするのも良いですが、Drもどの薬を使おうか迷う時もあります。
そんな時、薬の違いを理解して処方提案までできれば「薬剤師の職能の発揮」とまではいかなくても患者さんの役に立てることは間違いなしです。
こんな意見に賛同する方に「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」はおすすめです。
読むと学べること・身につくスキル
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」で学べる内容は
- 例に挙げられている薬の違いと使い分け
- エビデンスに基づいた知識
- 服薬指導に活かせる豆知識
- よくある失敗例
などです。
挙げ始めるとたくさんありますがかなり気の利いた便利な知識を紹介してくれています。
さらに、730点の参考文献を明記して解説されているので
「表面的」な知識や「本当かわからない」知識ではなく
エビデンスに基づいた実用的な知識を学ぶことができます。
また、各ページの一番下の部分に「こぼれ話」という項目があり豆知識や補足情報を記載してあります。
このこぼれ話が何気に役にたつ項目が多く、患者さんとの雑談のネタに活きてきそうな内容です。
さらに「advice」の項目でよくある失敗例や注意点を解説してくれているので
薬の違いを説明できる上に「こんな失敗する人も多いので気をつけてくださいね」といった話もできます。
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」の感想
まず率直な感想はとにかく見やすいということです。
もちろん薬の違いが文字で書いているのですが、必ず端的にまとめたイラストがついていて
そのイラストを見ると違いが一目瞭然です。
↓こんな感じ
直感的に理解できるのでわかりやすいですし
まずはサクッと全体を学びたい時や
「あの違いなんだっけ」と勉強し直す時など、ページを開くと真っ先にイラストが目に入ってくるので勉強がはかどります。
個人的には
「セルベックスとムコスタの違い」は面白かったです。
「え、初歩すぎない?」と思うかもしれませんが明確に説明できますでしょうか。
頓服で「痛み止め+セルベックス」よりも「痛み止め+ムコスタ」の処方の方が多いのはこれが理由かも。と納得しました。
「キサラタン・タプロス・トラバタンズ・ルミガンの違い」については
疑義照会の時に使えそうな内容でしたし
最後にまとめとして各薬品のデータを載せてくれているのでそれを見て「どれが一番刺激があるんだろう・・・」とか自分で考える材料にもなりました。
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」の口コミ
良い口コミも悪い口コミも載せておきます。
良い口コミ
薬の比較について、良くわかる本。
このレベルで薬の知識を身につけることは、薬剤師として必須であると感じた。
新人薬剤師だけでなく、ベテランでも良い勉強になるはず。 Amazonレビュー
同種同効薬の特長が解りやすく説明されています。
重要性のあることは、太字です。
また、キーワードは分かり易く別括りで囲いがついています。欄外の「こぼれ話」は結構ためになり、面白いです。 Amazonレビュー
50代、外科系医師です。最近の薬剤の進歩はすさまじく、なかなか追いつけません。最近書店で見かけパラパラ立ち読みしたら面白くて購入しました。百科事典的な要求は他著にゆずり、あえて代表的な薬剤にフォーカスを絞って軽快な語り口で論ずる本書はとても好感が持てます。内科の専門医でない医師、研修医にも大変おすすめしたい良書です。 Amazonレビュー
悪い口コミ
内容はまとまっていて、サラサラと頭に入る感じです。
参考文献がしっかり載っている点、下のこぼれ話はなるほど、と思うものもあり良かったですが、ほとんど知ってる内容だらけで残念でした。 Amazonレビュー
本書は、薬局ですぐに役立つという名目をうたっていますが、抗菌薬、精神科薬の項目を同僚に拝見した限りですが、
「薬の単純な比較としての資料としては役に立ちますが、疾患によっては、病理を深く知っている必要性がある」との印象を受けました。 Amazonレビュー
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」の感想まとめ
初めは「100個じゃなくて網羅的に比較してほしい」と思っていましたが読み終わってみると
「1つ1つに関して比べてもらうのも深く知れて良いな」と感じました。
もちろん網羅的に勉強していくことは重要ですが、1つ1つのケースに関して深く、地道に学んでいく繰り返しで網羅的になると一番良いと思いました。
とても良い本でした。
ちなみに、かなり網羅的に学んでいくことができる本もあります。
【目的別】薬剤師のおすすめ本も紹介しています。