こんにちは。派遣薬剤師のひでです。
またいつものように薬剤師のスキルアップに役立つ本をレビューしていきたいと思います。
今回見つけたのは
「OTC医薬品の比較と使い分け」です。
- 著者:児島悠史
- 監修:坂口真弓
- 執筆協力:神田佳典
- 出版社:羊土社
- 発行日:2019年12月5日
「OTC医薬品の比較と使い分け」はかなり良書ということでTwitterでも話題になっていました。
「どれほどのもんだろう」と思っていましたが
実際に読んでみると自信を持って人に勧められる1冊でした。
・商品名と成分が一致しない
・受診勧奨を身につけたい
こんな風に感じている方には特におすすめの内容になっています。
ちなみにOTC以外でも薬剤師のおすすめ本を紹介している記事があるのでそちらも合わせて読んでみてください。
「OTC医薬品の比較と使い分け」を読むと学べること
「OTC医薬品の比較と使い分け」を読むと学べることは
- 受診勧奨のトリアージ
- 症状や患者背景に合わせたOTC薬品の選択方法
- OTC薬品の1つ1つの成分の知識
- 個々の商品の特徴
- どの商品にどの成分が入っているか
といった感じです。
「OTC医薬品の比較と使い分け」ではまず「病院受診のトリアージ」の項目でOTC薬品で対応可能なのか病院受診が必要なのか
その判断基準を学ぶことができます。
例えば鼻炎の薬を買いに来たお客さんに対しては
- 「喘息」「蕁麻疹」など複合的なアレルギーを起こしていないか
- 細菌性の副鼻腔炎の疑いはないか
- 薬剤性鼻炎ではないか
- 熱性けいれんの既往のある小児ではないか
といったことに注意してトリアージしていくと書いてあります。
本の中では理由までしっかり解説されています。
また、「使い分けフローチャート」の項目を読むと
フローチャート形式の図に従って選んでいくと、禁忌や潜在的リスク(抗ヒスタミン薬でいうと眠気→運転手などは注意)を避けながら適切な薬剤が選択できるようになっています。
さらに、どの成分がどの商品に入っているのかを表にしてまとめてくれているので商品同士で共通点や比較がしやすく
忘れてしまった時や確認したい時もひと目でわかるので便利です。
そして、OTC薬品に配合されている成分を1つ1つ丁寧に解説してくれている項目もあります。
- 成分の長所
- 成分の短所
- 留意点
- 妊婦・授乳婦の服用は可能か
など様々な観点で成分を解説し、表にしてくれています。
主成分だけでなく補助的な成分に対しても全て記載してくれているのでかなり重宝します。
さらに特徴的なOTC薬品についてはまとめてくれていたりします。
例えば抗ヒスタミン薬の章では
- アレグラFXジュニア→7〜14歳用
- クラリチンEX「OD錠」→妊娠・授乳中の安全性が高く、若い女性に勧めやすい
- ストナリニZジェル→「l−メントール」を含まず刺激が少ない
などなど。
成分を覚えるだけではカバーできない商品の特性を書いてくれているので
よりお客さんの要望に応じた薬剤の選択が可能になります。
「OTC医薬品の比較と使い分け」の感想
「OTC医薬品の比較と使い分け」を読んだ時の感想は
「これ1冊あればOTCはほぼ完璧だな」と思いました。
特にダメな部分の見当たらない良書で
特に僕が気に入ったのは
- 補助的な成分の解説までしっかりしている
- 「特徴のある商品」をまとめている
- 「豆知識」が面白い
ところです。
個人的には「OTC薬品って大学で習わない成分も多いし、補助的に配合されている成分に関しては調べても詳しい情報が出てこない」といった印象でした。
もちろん僕の勉強不足もあったかと思いますが
OTC薬品の1つ1つの成分の詳細を明らかにしてくれている本はかなり待ち望んでいた本でした。
さらに、ドラッグストアで長く勤めていると商品1つ1つの特徴も頭に入ってきますが
処方箋のみ調剤薬局や病院に勤めていると、成分で効能効果は判断できても
「清涼感がある商品とない商品がある」といった細かい違いについてはわからないので
そんな所が「OTCの難しさ」だったりします。
「OTC医薬品の比較と使い分け」はそんな特徴のある商品もピックアップして紹介してくれているので
よりお客さんの細かい要望に答えることができ
お客さんと薬剤師双方にとってありがたいです。
さらに「豆知識」の項目では
- 抗ロイコトリエン薬はなぜOTCにならない?
- 「リゾチーム」が多くの製剤から削除された理由
など、確かに雑談ですが
「有益な雑談」がたくさん紹介されています。
とても面白い内容が多く、もっと豆知識を知りたくなりました。
「OTC医薬品の比較と使い分け」の口コミ
人気の本なので口コミがたくさんありました。
2つ紹介します。
若手の薬剤師の小嶋先生の著作の第二弾です。正直、第一弾の使い分けの本より完成度高いです。
デキる薬剤師がどのように考え、結論を導き出すのかがしっかりと言語化できていてます。
また本の作りも見やすいし読みやすいため、苦も無く読み進められます。
OTC販売に自信がない薬剤師に限らず日々の処方箋業務の中でもこの本に書かれている知識や思考回路が
必要になってくるので、OTCの取り扱いがない薬剤師もオススメです。
このレベルの薬剤師向けの書籍が発売されたことにより、今後はこのレベルのことができることが
ベースラインになってきて、最近の薬剤師の二分化に拍車をかけるのではないかなと思います。 Amazonレビュー
ありそうでなかった良書。
OTCについては網羅的に情報検索するのが難しく手間も多いが、この本が一冊あればまず困ることはない。細かな知識まで緻密に解説されている。 Amazonレビュー
「OTC医薬品の比較と使い分け」の感想まとめ
「OTC医薬品の比較と使い分け」の感想をまとめると
- OTC薬品の使い分けがフローチャートでわかりやすく学べる
- 受診勧奨もマスターできる
- 補助的な成分まで詳細に理解できる
- 特徴のある製剤も把握できる
- 一覧表で商品に入っている成分を確認できる
- これ1冊あればOTC薬品の知識に困らない
といった感じです。
「OTCに不安がある」
「OTCを学ぶ必要がある」
こういった方はまず手元に置いておくべき1冊だと思います。
OTC以外も学びたい方は薬剤師のおすすめ本も読んでみてください。