こんにちは。派遣薬剤師のひでです。
いつもの様に「薬剤師のスキルアップに繋がる本はないかな?」と本屋を物色していた僕が今回出会ったのは
「よくある不安や疑問に応える妊娠・授乳と薬のガイドブック」です。
- 編集:愛知県薬剤師会 妊婦・授乳婦医薬品適正使用推進研究班
- 出版社:じほう
- 発行日:2019年5月31日 2019年9月30日第3刷発行
この本は愛知県薬剤師会が養成している「妊娠・授乳サポート薬剤師」の講座テキストを新しいエビデンスを加えて書籍化したものです。
ですので
「妊娠・授乳婦について全然わからない」という方から
「さらに踏み込んで知りたい」という方まで様々なレベルの方にとって参考になる内容になっています。
妊娠・授乳中の方からのご相談にのり、適切なアドバイスができる薬局薬剤師のこと。愛知県ではステッカーを作ってサポート薬剤師のいる薬局に貼っている。
有益な本を読むと知識が広がり、日常業務が快適になりますが
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」はまさにそんな体験をさせてくれる本でした。
ちなみにですが他にも薬剤師のスキルアップに繋がるおすすめ本をチェックしたい方は薬剤師のおすすめ本も読んでみてください。
目次
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」はこんな人におすすめ
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」がおすすめな人はこんな人です。
- 妊婦と授乳について興味はあるけど学んだことはない
- 時々妊婦や授乳婦に投薬するがはっきりした考え方が分かっていない
- 本で調べて「安全」とかだけでなく仕組みや判断の仕方を知りたい
- 患者さんに聞かれた時にどんな風に答えたらいいか知りたい
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」は研修テキストを書籍化しているだけあって体系的・網羅的に学ぶことができる本です。
なので全く妊婦と授乳について学んだことのない初心者からでも読んでついていける内容になっていて、学んだことのない人におすすめです。
さらにゴールに掲げているのは「妊娠・授乳サポート薬剤師として活動すること」なので多少「勉強したことはあるがはっきりとは分かっていない」という方のレベルアップにも役立てることができます。
また、僕もそうなのですが
妊婦・授乳婦の患者さんが来るととりあえず分厚い辞書本で調べて「安全」となっているかどうかだけ確認している。
という方も多いと思います。
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」を読むと
- 薬の性質からどれくらい母乳に移行するか
- RIDの計算方法がわかる
(授乳婦の服薬による乳児の安全性を判断する指標) - 添付文書の情報からどれくらい胎盤移行するか
などなど、辞書本で調べるだけの表面的にやり方にとどまらず
仕組みを知って自分で判断する力が養えます。
さらに巻末には妊婦・授乳婦の相談Q&Aもついているので
患者さんの質問にどう答えていくかといったこともしっかりマスターできる内容になっています。
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」を読むと学べること・身につくスキル
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」で学べることや身につくスキルは
- 妊婦授乳婦の薬に関する網羅的な知識
- 実戦でも使える知識
- 薬の成分の物性を理解して判断していく力
- 患者さんの不安を取り除く服薬指導や共感力
です。
まず、やはり研修テキストということで一通りの知識が網羅的に書かれています。
テキストとなるとお堅い文章で客観的データばかり並べ立てられていて
とっつきにくく、実用的ではないイメージですが
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」の場合
目指すゴールが「現場で使える妊娠・授乳サポート薬剤師」なので実戦でも使える知識が書かれています。
本の中では自分で「妊婦・授乳婦に関する薬の服用の可否」を判断するための知識が説明されていて
その後ケーススタディとしていくつか例が挙げられています。
ケーススタディはまず、判断材料となるデータ(添付文書などに載っているもの)が紹介されていて、「自分で考えてみよう」といった感じなので
自分で考える力も身につけることができます。
もちろんそのあとに解答も書いてあるので答え合わせもバッチリです。
さらに「妊娠・授乳と薬のガイドブック」では患者さんの気持ちをケアすることにも力を入れて書かれています。
妊婦や授乳婦は自分の小さな子供に関わってくることなので不安や心配も深い場合が多いですよね。
ケーススタディや巻末の相談Q&Aの部分で服薬指導内容の例が書かれているのですが
各所に患者さんの「気持ちに共感する文言」「不安を解消する文言」が書かれていて自然と患者さん想いな指導内容が身につくように設計されています。
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」感想
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」の感想は
「少し難しいけど7割くらい理解するだけで日常業務にはかなり役立つな」といった感じでした。
本の中では母乳を飲む乳児の安全性に関する指標の計算方法が書かれていたりしますが
自分で計算するには少しややこしいと感じました。
しかし、ケーススタディでは数値を書いてくれているのでそれを元に判断する力は養うことができましたし
そのほかの部分でもかなり役立つ部分が多いので理解できるところまでやる感じでも十分だと思います。
ケーススタディでは毎回胎盤移行性や母乳移行性を判断するデータを与えてくれるので
データから判断していく思考回路を学ぶことができますし
その後にある「今回のケースでのアドバイス例」の項目で服薬指導内容が「こんな感じでいいのか」と体験できます。
さらにその後に「Drの視点」の項目があるのでDr目線の考え方も学べてさらに知識が深まると感じました。
飲酒や喫煙の授乳に対する影響や対処法も分かりやすかったですし
授乳婦が薬を服用した場合の授乳のタイミングも添付文書を開いてtmaxや半減期を見ながら説明していける知識が身につきました。
本で出てきた内容が最後の「授乳と薬の相談Q&A」でおさらい出来るのも個人的に嬉しい書き方だと思いました。
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」の感想まとめ
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」の感想をまとめると
- 妊娠と授乳に関して1から10まで学べる
- 成分の物性から胎盤移行、母乳移行を判断できるようになる
- 患者さんの心のケアも学べる
- 研修テキストを書籍化したもので、ゴールは実戦で使えるサポート薬剤師
といった感じです。
妊婦や授乳婦の薬に関しては迷う部分も多いと思うので
「妊娠・授乳と薬のガイドブック」を読んでモヤのかかっていた部分を解消しておくと良いと思います。
ほかの本も気になる方は薬剤師のスキルアップに役立つおすすめ本の記事も合わせて読んでみてください。