こんにちは。派遣薬剤師のひでです。
今日は薬剤師のスキルアップに役立つおすすめ本を紹介します。
・一冊が安いものではないから失敗したくない
こんな風に思う方って多いですよね。
僕自身も学びたいと思いながらもどの本が良いかわからず、でもお金もかけたくなかったので
結局本屋に連日入り浸って何時間も立ち読みしまくる(座って読めた)という暴挙に出ました。
その結果、目的別におすすめの本を12冊発見したので紹介したいと思います。
今回本を選んだ基準としては
・学びたい目的別
・分厚く、情報の羅列された辞書本ではない
・業務に使える生きた知識が身につく
といった感じで良書を厳選して選びました。
しっかり身につけるには繰り返し勉強しないといけませんが
身につけると普段の業務での景色が変わるような本ばかりですのでぜひチェックしてみてください。
目次
【目的別】薬剤師におすすめの勉強本12選
個人的な趣向も入っていますがかなりの良書揃いだと思います。
「分厚い本で辞書的にわからないたびに開いて読む」本ももちろん必要だと思いますが
今回は「読むと自分の身になり、業務のクオリティを上げることができる」という観点から選んでみました。
スキルアップの助けにしていただけると幸いです。
薬の使い分けを知りたい薬剤師におすすめの3冊
効能効果や同効薬のカテゴリー(血圧ならCa拮抗薬、β遮断薬など)はいろんな本で書かれているので学びやすいですが
というのは薬剤師の永遠のテーマですよね。
「今回薬変わってるけど、どちらもSSRIだから違いがわからない!」
みたいなことってよくあります。
そんな悩みを解決する3冊を紹介します。
薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100:児島悠史(著)
いろんなところにファンが多く、コラムの執筆や薬に関するWebサイトも運営している児嶋悠史さんの1冊です。
かなり秀逸な内容になっていて
- まず系統間で比較している(ARBとACE阻害薬との違いなど)
→新人薬剤師、ブランクありでもわかりやすい - その後、同系統の他薬で比較している(ブロプレスとニューロタンなど)
→一歩踏み込んで学べる - 違いがイラストで説明されている
→視覚的に一瞬で理解できるので勉強がはかどる - 新薬との違いも言及してある
といった感じでした。
視覚的に違いが一瞬でわかるので手早く知識をつけたい方にもおすすめですし、
細部も読むとエビデンスもしっかりしていてより深い知識を得ることができます。
さらに、情報の手に入りにくい新薬についてもしっかり比較されているので
「読むと読まないとでかなり差のつく一冊」であることは間違いないです。
「夢中で読み切ってしまって何度も読みたくなる」知識欲を満たしてくれる勉強本です。
詳しくは【薬剤師おすすめ本】薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100の感想を書いているので読んでみてください。
いちばん適切な薬剤が選べる同効薬比較ガイド1、2:黒山政一(著)
同効薬の違いについて数々の著書のある黒山政一さんの1冊です。
- 網羅的に掲載されている
→「これとこれの違いがわからない!」を解決 - 表になっていて一目でわかる
→効率よく学べる - 「特徴」の欄だけで違いがわかる
→見たいところが探しやすい
上で紹介した「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」は必須の1冊なのですが100個の場合について書かれていたので網羅性に不安がありました。
「いちばん適切な薬剤が選べる同効薬比較ガイド」は系統別に個別の薬剤について表があって違いが知りたい薬はほぼ網羅することができます。
表には「特徴」の欄があり、そこに違いが書いてあるので本を隅から隅まで読まなくても
同効薬の違いについて勉強することができて効率的です。
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」で個別のケースについて知識を深め
「いちばん適切な薬剤が選べる同効薬比較ガイド」で網羅性を高める。
個別のレビュー記事は【薬剤師おすすめ本】同効薬比較ガイドの感想を読んでみてください。
小児の服薬指導を極めたい薬剤師におすすめの1冊
小児への服薬指導は大学では習いません。
そのため体系的に学んだことのある薬剤師って少ないですよね。
意外と小児科に対して苦手意識を持っている薬剤師も多いと思います。
苦手の原因は
- 粉、水剤の用量の確認が必要
- 「薬が飲めない」などがあり服薬指導が難しい
といったことが挙げられると思います。
粉、水の用量については実務をこなしていくにつれ出来ていきますが、
服薬指導についてはしっかり学ばなければどうにもなりません。
そんな小児の服薬指導を極めることができるのがこの1冊です。
松本康弘の極める!小児の服薬指導:松本康弘(著)
これはかなりおすす目の1冊です。
1冊読めばブラックボックスだった小児の服薬指導がクリアに見渡せるだけでなく
一歩進んだ服薬指導が可能になります。
著者の松本康弘さんは小児科の門前で働いており、その経験をもとに日常業務で感じたことや自身が研究した内容などを綴っています。
- 実際に行なっている薬の様々な飲ませ方が書かれている
- 写真でわかり安く解説されていて、自分も疑似体験ができる
- 年齢別の対応もわかりやすい
例えば粉薬飲めない場合、練って上顎などに塗るよう指導することがありますが
練るときに実際に水を何滴入れると粉薬がどんな状態になるか写真で解説してくれています。
自分で試してみるには環境を整えるのが難しいですが、この本を読んでおくと写真で疑似体験ができるので服薬指導のときにリアルな感想を患者さんに伝えることが出来ます。
その他、著者が実際に研究した内容満載なので1冊読み終えた頃にはすっかり小児の服薬指導への苦手意識はなくなっていると思います。
本自体も文字の羅列ばかりでなく読みやすく工夫がされているので勉強もはかどります。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】極める!小児の服薬指導感想を読んでみてください。
妊婦・授乳婦と薬に関して知識を深めたい薬剤師におすすめの1冊
妊婦・授乳婦に対する薬の投与も小児と並んで苦手としている薬剤師の多い分野だと思います。
薬が投与されるケースが少ない分小児より難しいかもしれません。
妊婦と授乳婦に関しては最終的には辞書本で投与可能か確認していくことが必要だと思いますが基本的な考え方や自分である程度判断する能力をつけたい方におすすめの1冊を紹介します。
よくある不安や疑問に応える妊娠・授乳と薬のガイドブック
どうしても全ての薬に対して妊婦・授乳婦に使用できるか覚えていくのは現実問題難しいですが考え方や現場感を養うのにおすすめの本です。
- よくあるケースについて解説してくれている
- 分子量などの成分の性質から考える力が身につく
- 見やすいレイアウト
- 順序立てて体系的に考え方を学べる
といった感じでこの本を読むと妊婦・授乳婦と薬に関して全貌が見えてくるので怖さや戸惑いが無くなります。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】妊娠授乳と薬のガイドブック感想を読んでみてください。
服薬指導をレベルアップさせたい薬剤師におすすめの2冊
対面業務の強化が叫ばれている昨今です。
服薬指導の質を上げたいと考えている薬剤師も多いと思います。
基本的には患者さんと真摯に向き合うことで服薬指導の質は上がっていくと思いますが
本で学ぶことも大切です。
タイプの違う2冊を紹介していきます。
薬局の現場ですぐに役立つ服薬指導のキホン:淺沼晋(著)
こちらは「深く知る」というよりは患者対応に不安がある
- 新人薬剤師向け
- ブランクある薬剤師向け
の内容になっています。
- 序章で服薬指導の基本的な考え方を学び
- メインとなるのはケーススタディ
- 例を挙げて「こんな場合はこう答えると良い」
といった感じで進んでいきます。
応用力をつけていくというよりは
基本的なよくあるケースに対して対処法を知っておきたい人におすすめです。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】現場で役立つ服薬指導のキホン感想を読んでみてください。
基礎からわかる服薬指導
「基礎からわかる」シリーズの服薬指導版で安定して高評価の1冊です。
- 系統ごとに指導の際注意するべきポイントがわかりやすい
- かなり網羅的に書いてある
- 疾患ごとにまとめて書いてある
といった感じでかなり細かい内容まで把握できる1冊です。
この本をマスターすると薬歴をチェックされても非の打ち所の無いような
「抜け目のない服薬指導」ができるようになると思います。
詳しいレビュー記事は【薬剤師おすすめ本】基礎からわかる服薬指導感想からどうぞ
検査値をマスターしたい薬剤師におすすめの2冊
病院薬剤師も薬局薬剤師も検査値に触れる機会はありますよね。
薬局薬剤師の方が検査値を読み解く頻度は少ないかもしれませんが
在宅医療が普及していく中でこれからどんどん検査値に触れる機会は増えていくと思います。
「代表的なのはわかるけど全部はわからないな・・・」
こんな方は今のうちからしっかりと学んでいく必要があると思います。
基礎からはじめる検査値×処方箋の読み方
「まだ全然検査値わからない・・・」という方におすすめの1冊です。
- 内容は基本的で易しいものが多い
- 症例で得た知識の実践ができる
- 検査値を読み解いて疑義紹介をかけるところまでが学べる
といった感じです。
検査値ってかなり奥が深くて複合的に見ていかないと正確に症状を把握するのは難しいですが
この本では基本的に知識で解読できる易しめの内容になっていて「学びはじめ」でも理解しやすいと思います。
- 新人薬剤師
- ブランクのある薬剤師
- 基礎を確認したい薬剤師
- 検査値からの疑義紹介例を学びたい薬剤師
におすすめです。
この本を読むと最低限の検査値について理解でき、基本的な疑義紹介がかけられるようになると思います。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】検査値×処方箋感想を読んでみてください。
薬剤師のための基礎からの検査値の読み方
この本は本格的に検査値をマスターしたい薬剤師におすすめの1冊です。
- 検査値1つ1つの意義まで詳細に書かれている
- レベルの高い症例が載っている
- 臨床検査専門医の見解も書かれている
- 見やすいレイアウト
といった感じで深くまで検査値を理解することができます。
- 実用できるレベルで検査値を理解したい
- 複数の検査値に変化があるようなケースも理科したい
といった方は一度読んでみると良いと思います。
この本を読むと検査値の意義まで理解して、病態を正確に捉えることができるようになると思います。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】基礎からの検査値の読み方感想を読んでみてください。
薬物動態の知識を日々の業務に役立てたい薬剤師におすすめの1冊
「薬物動態をしっかり学んでいるのは薬剤師だけ」とはよく言われます。
薬理学は医師も看護師も学びますが薬物動態学を学んでいるのは薬剤師の特権ですね。
「薬物動態学の知識を日々に業務に活かせないか」といった観点から書かれている1冊を紹介します。
どんぐり未来塾薬物動態マスター術
数々のセミナーや研修会を行なっているNPO法人のどんぐり未来塾からの1冊です。
薬物動態を意識すると今まで明確に答えられていなかった患者さんの質問に
「こんなに明確に答えられるんだ」と驚く1冊です。
- 定常状態のある薬剤とない薬剤がある
- 定常状態があるかないかの判断基準がある
- 定常状態があるかないかによって「薬がどれくらいで効くか」の質問に対する答えが違う
これらの知識に関して不安がある方はぜひ読んでみると良いと思います。
薬物動態を学ぶと添付文書を読み解く助けにもなりますね。
詳しいレビューは【薬剤師おすすめ本】薬物動態マスター術感想でどうぞ。
OTCを完璧にしたい薬剤師におすすめの1冊
OTCの成分って薬理学では習わないような成分が多いですよね。
なので薬剤師でも1から学んでいかないといけない分野です。
しかし、「OTCで使われる成分の効果は調べてもはっきりしない」と困っている方も多いと思います。
そんな方におすすめの一冊です。
OTC医薬品の比較と使い分け:児島悠史(著)
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」と同じ著者の方です。
「OTC医薬品の比較と使い分け」もかなりの良書で
OTC医薬品って効果の薄い成分も配合されていたりしてそれに関しては配合目的がいまいちはっきりわからなかったります。
この本は
- OTCの成分1つ1つの薬効がわかる
- OTCの違いが表になっていて比較が明確
- フローチャート形式で使い分けがわかりやすい
といった感じです。
OTCの成分に対してかなり網羅的に書かれているので商品名で全てを覚えていなくても
「成分を見れば症状に合わせたOTC薬を選択できる」レベルにはすぐに到達できると思います。
個別のレビュー記事は【薬剤師おすすめ本】OTC医薬品の比較と使い分け感想から読んでみてください。
エビデンスを学びたい薬剤師におすすめの1冊
少しおまけ的な感じで1冊紹介します。
本当の意味でエビデンスを学びたければ論文を読むしかないです。
しかし、なかなかそこまでするのはレベルの高い話なので
入門編としてよくある質問に対して臨床論文を解説してくれている本を1冊紹介します。
ビジアブで読み解く!薬剤師の仕事に役立つ臨床論文:菅原鉄矢(著)
エビデンスに基づいて薬剤師として判断を下したり説明ができれば最高ですが
- 論文をバリバリ読むのはできない
- そもそも論文ってどんなの?
といった方にとても便利です。
- 糖尿病に果物ってどれくらい影響する?
- 耳浴は10分より短いと効果が落ちる?
など素朴な疑問に対して論文を解説してくれています。
全ての事例が網羅されているわけではありませんが
この本を読めば「エビデンスに基づいて」判断できる知識が増えていくのでおすすめです。
【目的別】薬剤師のスキルアップに役立つおすすめ本まとめ
勉強したいという欲は薬剤師なら多くの方が持っていると思いますが
様々な障壁があって実行できていない方もいると思います。
今回の記事で目的別に「どんな本を」勉強したら良いかはわかったかと思います。
あとは「どうやって」勉強するかも重要かと思いますので薬剤師のおすすめ勉強法は本?の記事もぜひ読んでみてください。
しっかり勉強して薬剤師としてスキルアップして行きましょう。