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【ついに解禁】オンライン服薬指導とは?今後広まる?仕組み、メリット、問題点も解説

こんにちは。派遣薬剤師のひでです。

今日はオンライン服薬指導についてです。

2019年12月に改正薬機法が交付され、これまでは対面が義務だった服薬指導が

一定の要件のもとオンラインで(インターネットを介して)できるようになりました。

今現在はオンライン服薬指導は限られた僻地や特区だけで実施されていますが

12月に改正された薬機法は1年以内に施行されるので

いよいよ全国どこでもオンライン服薬指導が解禁となります。

オンライン服薬指導解禁を目前に控え・・・

・オンライン服薬指導って何?
・メリットや問題点を知りたい
・実際の流れはどんな感じ?

などなどいろんな疑問が浮かんでくると思います。

なので今日はオンライン服薬指導について詳しく書いていきたいと思います。

この記事でわかること

・オンライン服薬指導の概要と要件
・オンライン服薬指導の仕組み、流れ
・メリットと問題点

オンライン服薬指導とは

オンライン服薬指導とはテレビ電話やスマートフォン、パソコンのビデオチャット機能を使って薬剤師が服薬指導を行うものです。

数年前から試験的運用が始まっており2019年の薬機法改正でいよいよ本格化してきました。

外来・入院・在宅とどれも対面で行われていた服薬指導に新しく加わった情報通信技術(ICT)を駆使した服薬指導の在り方です。

すでに行われている医師によるオンライン診療では

  • 診察後に処方箋が患者宅に送られてくる
  • その後薬局に処方箋を持参

という流れですが

オンライン服薬指導と組み合わせると診察から薬の受け取りまで自宅にいながら完結させることができ、より利便性の高い医療が実現すると言われています。

オンライン服薬指導の仕組み

今のオンライン服薬指導の仕組みはざっとこんな感じ

現在はオンライン診療による処方箋(特定処方箋)のみに基づくオンライン服薬指導です。

特定処方箋は通常の処方箋とは違うので通常の処方箋でオンライン服薬指導は今のところされていません。

2019年の改正薬機法が施行されるとオンライン診療による処方箋だけでなく、在宅患者へのオンライン服薬指導も開始されます。

オンライン服薬指導の種類

オンライン服薬指導には2つの種類があります

  1. 外来オンライン服薬指導
  2. 在宅オンライン服薬指導

①外来オンライン服薬指導とは

  1. 対面服薬指導を行なったことがある患者に
  2. 患者がオンライン服薬指導を希望した場合に
  3. 今まで調剤していたのと同一内容とみなせる薬剤について
    (GEへの変更などは同一とみなしてOK)
  4. オンライン診療による処方箋に基づいて行う

オンライン服薬指導のことです。

②在宅オンライン服薬指導とは

  1. 患家で服薬指導を行なったことがある患者に対し
  2. 患者がオンライン服薬指導を希望した場合に
  3. 今まで調剤していたのと同一内容とみなせる薬剤について
  4. 訪問診療による処方箋に基づいて行う

オンライン服薬指導のことです。

派遣薬剤師ひで
派遣薬剤師ひで
つまりオンライン診療と訪問診療に対してオンライン服薬指導は行われるってことだね

実際のオンライン服薬指導の流れ

実際にオンライン服薬指導がどんな感じで始まり、行われていくかというと

  1. 薬局側で必要なシステムの導入や申請、登録など事前準備を済ませる
    (オンライン服薬指導を行う薬局として登録が必要)
  2. 患者さんがオンライン服薬指導を希望する(自分で薬局を選ぶ)
  3. 患者さんと薬局で通信環境の確認や話し合いを行い「服薬指導計画」を作成する
  4. 病院と薬局で「服薬指導計画」を共有し事前の調整をする
  5. 患者さんと病院でオンライン診療(または在宅診療)を行う
  6. 処方箋が薬局に送られてくる
  7. 薬局と患者さんでオンライン服薬指導を行う
  8. 必要に応じて「服薬指導計画」を見直す

といった感じです。

患者さんが自分で薬局を選び服薬指導計画に基づいてオンライン服薬指導が行われていくというところが重要です。

服薬指導計画を共有することで病院との医薬連携も円滑に進みます。

服薬指導計画の記載事項

患者さんと作成し病院と共有する「服薬指導計画」は大まかな記載事項が決まっています。

  • 薬剤の種類
  • 薬剤授受の方法
  • 対面とオンラインの組み合わせ(頻度やタイミング)
  • 実施しない場合の判断基準
  • 緊急時の連絡や対応方法
  • オンライン服薬指導の方法(時間、場所、使用機器など)

このような計画を作成し、計画に基づいてオンライン服薬指導は実施されます。

服薬指導計画書は適切な服薬指導を実施できる範囲で患者ごとにオーダーメイドして作成されることが原則で、計画から外れるような場合は対面での服薬指導を実施することになります。

さらに、基本的にオンライン服薬指導は「対面での服薬指導を保管するもの」という位置付けなので

どれくらいの頻度で対面と組み合わせていくかも決めていくことが必要です。

オンライン服薬指導の要件

オンライン服薬指導は無条件で行えるわけではありません。

必要となる要件についてまとめました。

オンライン服薬指導の要件

・オンライン診療による処方箋または訪問診療による処方箋に基づいて行う
・患者の希望があり薬局との間に合意がある
・同一の処方内容について対面で服薬指導を実施したことがある
・薬剤師と患者の間に信頼関係がある
・同一の薬剤師がオンライン服薬指導を実施する
・服薬指導計画を策定する

といった感じです。

さらに要件を満たすと薬剤服用歴管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定も可能になる予定です。

オンライン服薬指導で加算は取れる?

オンライン服薬指導でも薬剤服用歴管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料やその他の加算は算定できる予定です。

オンライン服薬指導の要件と薬剤服用歴管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件は満たした上で

  • オンライン診療の場合は一定の期間に
  • 在宅患者では同一月に

対面での服薬指導を行うこと

さらに

  • オンライン服薬指導の割合は一定以下にすること
  • お手帳を活用すること

が要件となっています。

あくまでオンライン服薬指導は「対面での服薬指導の補完」の位置付けなので

オンラインがメインにならないように考慮されている場合に薬剤服用歴管理指導料や在宅患者訪問薬剤管理指導料も算定してくことができるんですね。

在宅でのオンライン服薬指導の場合はさらに

  • 指導結果を処方医に情報提供する
  • 薬剤師1人につき週40回まで

といった要件も加わる予定です。

  • 重複投薬・相互作用等防止加算
  • 麻薬管理指導加算
  • 特定薬剤管理指導加算
  • 乳幼児服薬指導加算

については今までと同じように条件を満たせば算定できる予定です。

オンライン服薬指導のメリットと問題点

オンライン服薬指導には考えられているメリットと浮かんできた問題点がいくつかあります。

いくつか紹介していきます。

オンライン服薬指導のメリット

オンライン服薬指導のメリットは

  • オンライン診療と組み合わせてより医療へのアクセスを良くする
    →治療からの脱落を防ぐ、疾病の重症化を防ぐ
  • 自宅でゆっくり薬剤師の話を聞けることで服薬指導の効果が高まる
  • 患者の移動や待ち時間の負担軽減
  • 訪問薬剤師の負担軽減、業務効率化

といった感じです。

ちなみにオンライン診療でのメリットは

  • 就労者が仕事などで受診機会を逸するのを防ぐ
    →治療からの脱落防止
  • 通院負担が大きい高齢者の助けになる
    →治療からの脱落防止
  • 在宅医療での医師の移動負担の軽減
    →よりきめ細かい医療提供や患者、家族の安心につながる

なので組み合わせるとかなり受診、投薬に対する患者さんの負担は減りそうですね。

オンライン服薬指導の問題点

オンライン服薬指導の問題点としては

  1. 同一薬剤師が毎回指導できるか
  2. 処方箋が郵送な点
  3. 薬の授受の配送コストを誰が負担するか

です。

①については毎回同一薬剤師が指導するとなると決まった日にしか薬剤師の休みが取れなくなり、負担が増す恐れがあります。

「同一薬局」の規定に変更することも視野に入れて検討されていっています。

②については処方箋が郵送なので2日程度処方箋の受け取りまで時間を要します。

郵送が問題なく行われれば処方箋の期限は問題ありませんが確実ではないので懸念の声が上がっています。

電子処方箋の実証実験も行われているので、普及していけば解決していくと考えられています。

③については「療養の給付」とは関係のないサービス提供にあたる

ので薬の配送代は患者さんに請求可能の方向で進みそうですが、問題点として議論の余地がある部分かと思います。

オンライン服薬指導は今後広まる?

オンライン服薬指導に関しては対象となるのが

  • 「訪問診療の患者」
  • 「オンライン診療の患者」

と限られることから過度な競争が起きることは少ないと考えられます。

オンライン診療の医療機関の報酬は対面診療よりも低く設定されているので全ての医療機関が意欲的に取り組んでいくとは言えないことも1つの要因と言えます。
(逆にある程度広まれば医療費削減につながる可能性がある)

しかし、現時点で「オンラインの確かなニーズ」が確認されていることから

徐々に広まっていく傾向にあると考えられています。

さらにオンライン服薬指導は

「患者の希望」で行われ

話し合いによって「オンラインの割合」も患者さんごとにオーダーメイドするため

「必要な人に必要な分だけ」広まっていく便利な制度になっていくと思います。